
WalmartがAIエージェント決済に本格参入——「Agent Gateway」とは何か
Walmartは2025年10月、AIエージェント経由の買い物を管理する「Agent Gateway」と「Agent Profiles」を発表。競合AmazonがAIエージェントをブロックする中、あえて受け入れる戦略に転じた。利用者はエージェントごとに購入を承認・上限設定でき、返品保証も適用される。
ネット通販大手のWalmartが、AIエージェントによる代理購入を正式に受け入れる仕組みを発表しました。発表は2025年10月、サンフランシスコで開催されたMasters of Scale Summitでのこと。Walmartのジョン・ファーナー社長兼CEOが登壇し、AIエージェントが主流になる未来への準備だと説明しています。対象はWalmart本体だけでなく、倉庫型店舗のSam’s Clubも含まれます。
ここでいうAIエージェントとは、ユーザーの代わりに商品を検索し、購入まで自動で行うAIプログラムのこと。「冷蔵庫の牛乳が切れかけたら自動で注文する」ようなイメージを持つと分かりやすいでしょう。海外ではChatGPTやGeminiといったAIアプリ経由で買い物を済ませる動きが広がりつつあります。
なぜWalmartはAIエージェントを「拒否」ではなく「受け入れ」たのか
興味深いのは、競合のAmazonがAIエージェントによる購入をブロックする方向に動いている点です。旅行予約サイトなども同様にエージェントを締め出す対応を取っています。一方のWalmartは真逆。すでにMetaのMuseとの提携を発表済みで、ChatGPTやGeminiなど主要AIアプリとの連携も進めています。
つまりWalmartは、AIエージェントを締め出すのではなく、管理可能な形で受け入れることで、新しい購買チャネルを先に押さえにいったわけです。これは推測になりますが、エージェント経由の購買が主流になった際に、いち早く対応した事業者が有利になると判断したのでしょう。
Agent GatewayとAgent Profilesの仕組みを分解
Agent Gateway:MCPサーバーで承認済みエージェントをつなぐ
中核となるのがWalmartの「Agent Gateway」です。これはAnthropicが提唱したMCP(Model Context Protocol)に対応したサーバーで、承認されたAIエージェントだけがWalmartの在庫検索や購入を行えるようにする接続口の役割を担います。MCPはAIエージェントが外部のデータやツールに接続するための共通規格と考えると理解しやすいでしょう。
特筆すべきは、利用者が個人情報や購入履歴をエージェントに直接渡さなくても、いつものブランドや定番商品を買い物できる仕組みを用意している点です。
Agent Profiles:エージェントごとに購入を分けて管理
翌月から順次展開される「Agent Profiles」では、利用するAIエージェントごとに専用プロファイルをアカウント内に作成できます。エージェントの購入履歴は自分の購入と分けて表示され、取引ごとの承認を求めるか、あらかじめ設定した金額上限内なら自動承認するかを選べます。プロファイルは初回利用時に作成され、いつでも削除可能。Walmartアカウントがあれば使え、Walmart+会員である必要はないとされています。
比較で見る:WalmartとAmazonのAIエージェント対応
| 項目 | Walmart | Amazon |
|---|---|---|
| AIエージェントの受け入れ | 承認制で受け入れる | 購入をブロックする方向 |
| 専用の接続規格 | MCP対応のAgent Gateway | 非公開・制限的 |
| 購入の承認管理 | Agent Profilesで取引ごと/上限設定 | 該当する公表なし |
| 返品対応 | エージェントの誤作動でも返品プロセス適用 | 公表なし |
この比較から分かるのは、Walmartが「開放しつつ管理する」スタンス、Amazonが「遮断する」スタンスを取っているという対照性です。どちらが正解かは今後の消費者の動向次第と言えるでしょう。
利用者を守る「AIエージェント向け利用規約」の中身
Walmartは技術だけでなく、AIエージェントが守るべきルールも明文化しました。主なポイントは次の通りです。
さらに、エージェントが意図通りに動かなかった場合でも通常の返品プロセスが適用されると明言しています。これは「AIに任せて失敗したら損をするのでは」と不安に感じる初期利用者にとって、安心材料になるでしょう。
読者が気をつけたいポイントと今後の展望
※上記グラフは両社の公表スタンスを対比的に示したもので、数値は姿勢の度合いを表す概念的なものです。統計データではありません。
今回のWalmartの動きは、AIエージェントが「実験段階」から「実運用段階」へ移りつつあることを示す象徴的な事例と言えます。日本国内でも同様の仕組みが導入されるかは現時点では不明ですが、海外の動向として注目しておく価値は十分あるでしょう。なお、本記事の内容は発表時点の情報に基づくもので、詳細な仕様は今後変更される可能性があります。
よくある質問
AIエージェントで買い物するにはWalmart+会員になる必要がありますか?
エージェントが誤って購入した商品は返品できますか?
Agent Profilesはいつから使えますか?
今後もWalmartをはじめとする海外小売大手のAIエージェント対応に関する最新情報を更新していきます。
参考情報: techcrunch.com